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税理士が稼げない時代 ~収入2極化が急加速~

前までは悪くなかった税理士の仕事

税理士の業務の多くは、個人や経営者との関わりの中で、経理実務・税制面を考慮した経営アドバイスなどを行うことです。

税理士であれば30代で400~500万の年収・収入が見込めていました。独立開業によって、より多くの収入を得る税理士の方もいらっしゃいます。

ただし、試験合格後に2年間の実務経験が義務付けられます。税理士事務所で2年間の勤め期間がなければ独立開業ができないといった縛りが存在します。起業に制約があるのです。

税理士は難関資格とされ、事務所にもよりますが資格所得して独立した場合、比較的一般のサラリーマンよりも給与水準は高くなりやすい傾向にありました。

今後の税理士が稼げなくなる理由

1.税理士の競合数の増加と全国の経営者の平均年齢の高齢化

まず第一は税理士の数が増えすぎていることに起因します。

リンクを添付しますが国税庁のHPに記載の税理士数は毎年増え続けて供給過剰となっています。国税庁HP

一方で税理士の顧客となっている企業の経営者・社長の平均年齢が上昇し続けていることも課題です。

株式会社東京商工リサーチ調べの全国企業(全298万社)の社長の平均年齢は毎年、上がり続けており2016年には61.19歳が社長の平均年齢となっています。(株)東京商工リサーチ

団塊世代の社長の世代交代が進まず、高齢化に歯止めがかからない状況です。要因は様々ありますが、社会状況が不安定なため中小企業を事業継承する人材が不足していることが浮き彫りになっています。現在の男性の平均寿命が80歳ですから、事業継承が進まずにあと20年を経過した場合その経営者のほとんどは、寿命により廃業します。

平均が61.19歳なだけであり、実際にはすでに廃業寸前の中小企業で溢れているというのが現状です。税理士としてご支援している企業が廃業すると同時に、税理士としての収入は当然消滅します。

競合数の増加、高齢化による企業の廃業によって、税理士収入は今後急速に縮小していく流れがあることは受け止めなければならない事実の一つです。

2.AIとRPAの登場

AIとは、人工知能のことです。そしてRPAとはロボティクス・プロセス・オートメーション、いわゆるパソコン内のソフトウェア作業ロボです。

税理士の業務の多くは、経営者との関わりの中で、経理実務・経営アドバイスなどを行うこと、とは前述しました。

そのうち、経理実務は領収書の勘定科目の整理や税務署への書類提出などの作業的なこと、経営アドバイスは企業経営によって得た利益の運用方法や税制を考慮した企業経営へのアドバイスになります。「経理実務」に関してはすでに、スマホアプリで簡単に管理できます。レシートや領収書をスマホのカメラで撮影し、「交通費」「家賃」勘定科目を選んでアプリ上に保存するだけで完了します。

それを提供しているのが、会計ソフトウェア開発会社です。私はFreee設立・Freee会計を利用しています。

会社を立ち上げるに際に利用しましたが非常に快適でした。オンラインで自らが直接税理士事務所に出向いたり社労士事務所や行政書士の事務所に出向くこと無く、全て安価で一括して外注することができるシステムがすでにあります。驚くべきことに、税改正にも早急に対応可能なため、税制改正による心配もありません。経費精算などの経理実務はアプリで私は自分で管理しています。

これで「経理実務」の仕事は会計ソフトウェアのAIとRPAが自動で行います。では、店舗を構える税理士がどのようにして売上を上げていくか。

経理実務の最後の最後、税務署への書類の提出「作業」です。これは現状はAIやRPAではできない事です。(今後オンラインで作業できるような環境は整えられていくと思いますが)

あと収入の大きな部分は税制面に考慮した経営アドバイスです。「税制面を考慮して今期の資産償却や、事業展開などに向けた資産運用アドバイス」などがメインの仕事になってきます。税理士は通常、税金の制度に関してはプロですが、企業経営の事業展開に関していうとプロとは言えません。(経験が浅い独立したての税理士ならなおさらです)

税制面を考慮した資産の償却方法についてはアドバイスできても、これから事業を拡大させていくための事業戦略のアドバイスはなかなかできません。なぜならその業界で開業するにいたる実力をもった経営者本人の判断のほうが優れている可能性が高いからです。逆に言うと、もしそれができるなら、税理士としての強みとなり、「税理士兼・経営コンサルティング業」として活躍できる可能性が出てきます。しかし、それは経営判断に関わることなので、経営者本人よりも業界に対して学び、競合や市場環境の情報を常に新しく持っていなければなりません。

すでに様々な企業との取引実績があり、業界についての見識を深める努力をしてきた税理士の方に関しては、おそらく可能性はあります。しかし、今から税理士となって稼いでいこうという方にとっては厳しい現実が待ち構えています。

経営アドバイスとはそれだけ、責任が大きく・税理士の仕事から大きく逸脱するほどの知識・知恵・判断力・情報収集力・その他の経営に必要な多くの資質を持っていなければなりません。

もっと言うと、税制面を考慮した企業経営に関しても、ネットや書籍の情報で得られるものが非常に多いため、税理士の仕事の多くはこれから「税制面を考慮した経営アドバイス」から「単価の低い作業(書類作成と押印と税務署への書類の提出等)」の方に移行していくと思います。

では税理士の年収・収入の二極化とは?

税理士の方々の中に、ある一定の高所得者が生まれます。

例えば、会計ソフトウェア企業との業務提携を行う企業です。

現在、会計ソフトウェア企業は、開業から税務的なフォローまでを一括して請け負えるサービスを提供しています。そこにAIやRPAのように、24時間休まず働く技術と組み合わせて、安価なサービス提供を可能にしています。この流れはより加速していきます。ある一定の高所得者の税理士はこういった、会計ソフトウェア企業など、経営支援をする企業と業務提携を結ぶことです。(それでも税理士の競合が多いので、たたき売り状態になり1件あたりの単価は安くなる可能性がありますが)

資格で食べられない時代がすでに来ていることを感じて頂けたのではないでしょうか。

資格の難易度と仕事の安定は比例しないという現実をまず見ていただきたいと思います。

ちなみに、税理士の資格を取るための勉強時間は2500~5000時間と言われているそうです。

2500÷8=312.5

つまり休みなく1日8時間勉強して約10カ月、5000時間なら約20カ月です。

現在仕事をしながら税理士の勉強を始めようと思い勉強するなら1日4時間勉強して

休みなく1日4時間勉強して約20カ月、5000時間なら約40カ月です。

最長40カ月、3年4カ月かけて資格を取って開業するまでに2年の実務経験が必要。

最長5.4年で開業。(しかも顧客の囲い込みに必死になっているベテラン税理士勢との集客争いです)

さらに、競合は税理士だけではなく、経営コンサルタントも競合になります。税務署への書類提出などはできませんが、税制面のアドバイスは知識があれば難しくないので、業務の一部を経営コンサルタントがする場合があります。

そして、これから起業する若い世代はできることの多くをデジタルで処理するため、会計ソフトウェアで安価に済ませ、会計ソフトウェアが業務提携している税理士に仕事が流れます。もし新規顧客があったとしても売上は「作業」程度のことになる可能性が大きく、高単価は望めません。

 

税理士の収入が激減する5つの要因

1.競合数の増加

2.取引先企業経営者の高齢による廃業

3.会計ソフトウェアの台頭による税理士の業務単価の低下

「税制面を考慮した経営アドバイス」から「税務署への書類提出等の作業へ」

4.書籍・ネットによる税制面に考慮した経営アドバイス情報の氾濫による知識価値の低下

5.経営コンサルタントの増加による「税制面を考慮した経営アドバイス」機会の損失

6.デジタルネイティブ世代の会計ソフトウェアの利用による新規顧客の激減

※上記と同じようなことが行政書士でも起こっています。

 

では、税理士が今後も食べていくために求められる能力、するべき行動にはどんなことがあるでしょうか。それは別ページにて記載したいと思います。

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